元介護職員が体験した病院のお仕事・介護療養型医療施設(療養病床)③ 大変だったこと、楽しかったこと、まとめ

仕事
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介護療養型医療施設で、
看護助手として働いていたことがあります。

療養病床で働き、
大変だったこと、楽しかったことなどを
書きたいと思います。

※私が経験した話であって、
すべての療養病床に共通するわけではありません。


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大変だったこと

看取りや急変が起こりやすい。

重度の患者さんが多いため、
看取りが多いです。

以前、勤めていた老人ホームの入居者よりも
医療措置の必要な方が入院しています。

そのため、急変の可能性があります。

30分ごとの見回りでは、
顔色も含め容体の変化に注意が必要です。
呼吸をしていても、苦しそうではないか、
顔色が悪くないかについても気にします。


ベッドサイドモニターをつけている患者さんが
病棟に何人もいることもあります。
ただ、モニターをつけているからといって、
危篤とは限りません。

良い値ではなくても状態が安定している
患者さんもいます。


危篤になると、どんどん血圧が下がっていきます。
血圧や呼吸数などが一定の低さになると、
アラーム音が鳴ります。

隣の病棟のモニターのアラーム音が
鳴っている中、
亡くなったりしないのかしらと心配ながらも
私は別の病棟勤務なので、仮眠をとります。

隣の病棟では、病棟の看護師さんや看護助手が
ちゃんと仕事をしていますので、
私がどうこうする問題ではないのですが、
気になります。

医療器具をつけている方もいるので注意が必要。

特に医療病床の場合、点滴や酸素の管、
中心静脈栄養の管、尿道カテーテルの管、
ベッドサイドモニターの心電図の線など
あらゆる管が身体についている患者さんがいます。

※尿道カテーテルとは、
自力で排尿ができない人に対し、
尿道から膀胱まで管を通します。
膀胱にたまった尿を袋にためます。
袋の位置が悪かったり、
管が潰れてしまうと
尿が出にくくなるので注意が必要です。

おむつ交換時など、
うっかり管を抜いたり身体で潰したりしないように
気をつける必要があります。

意思の疎通がとれない。

会話が出来る人がほとんどいないので、
一緒に会話を楽しむことができません。

初めて病棟に行った時、
話ができないからつまらないと思いました。

しかし、天井を見つめているだけの人も
よーく見ていると、日によってなんとなく
表情が違います。


目をつぶったままの患者さんに
「目を開けて下さい」とお願いしても
目を開けてくれません。

しかし、
枕元にあるお孫さんの成人式の写真について、
「お孫さんですか?おばあちゃん似ですね」と
話しかけたところ、
ぱちっと目を開けて下さいました。


普段何も反応してくれないけど、
実は聞こえて理解しているのかもしれないと
思いました。

寝たきりで意思の疎通がとれない人は、
実はこちらの話や様子を理解できていて、
いろいろ思うところはあるけれども、
身体が不自由だから
反応できないだけなのかもしれないと思うと、
いい加減な介護はできません。

介護職として、
感じ取れるかどうかが介護職の力量だなと
思いました。

感じ取り方は、私の勝手な妄想かもしれません。
でも、妄想であっても少しでも
患者さんの声を感じ取りたいと思います。


楽しかったこと

医療の知識が増えた。

働き始めた時は、
朝の申し送りの医療用語が
ちんぷんかんぷんでした。
老人ホームで働いていたので、
多少の医療用語は知っていると思っていましたが、
太刀打ちできませんでした。

病院では、ドイツ語に由来する言葉がいろいろあります。
ドイツ語以外でも聞き慣れない用語が多いです。

徐々に覚えていき、
朝の申し送りでも理解できるようになりました。

人が亡くなる過程をたくさん見てきました。
どのような経過をたどるのか、
どのような状況になったら危険なのか、
少しはわかってきた気がします。

医師や看護師さんがいるから安心。

勤めていた老人ホームでは、
夜間は看護師さんはいませんでした。

夜中に利用者さんの体調が悪化した時、
自宅に帰宅している看護師に電話した方が良いのか、
経過観察で良いのか判断によく迷いました。
人命を預かる以上、
その責任感に押しつぶされそうな時も
ありました。


療養病床は、
重度の方が多く、看護師さんの数も多いです。
病気のことやどういう状況になったら危険なのかを
看護師から色々教わることができました。

看護師と介護職員が働く職場では、
看護師と介護職員の仲が悪い職場もあります。

私が勤めた病院は、
看護師と看護助手の仲が良かったので、
困った時に手伝ってもらったり、
教えてもらったり楽しく過ごしました。


異変を少しでも感じたら日中も夜間も気兼ねなく、
看護師さんに報告し対応してもらうことが
できました。
この安心感は大きかったです。

職員主導(良くはないですが・・・)

勤めていた有料老人ホームでは、
利用者の無茶ぶりのようなことにも
対応しようとしてきました。
本来は、利用者主体でケアをするべきですが、
それも度が過ぎると職員が燃え尽きてしまいます。

私が勤めた病院は、
良くも悪くも職員主導の部分がありました。
このため、気が楽でした。

転倒事故が少ない。

寝たきりの方が多いので、
患者さんが歩いて転倒ということがありませんでした。

働いていた老人ホームでは、
夜中に利用者が自分で歩こうとして
転倒ということがあり、
気が気ではありませんでした。

システマチック

私は、福祉職と医療職は大きな違いがあると感じています。
老人ホームと病院に勤めた経験だけではなく、
医療職の人とも関わることが多かったので、
そう感じました。

福祉職は、感情で動き、
医療職はデータで動くという感じがしています。

どちらにもメリットデメリットがあります。
だからこそ、両者がタッグを組むことは大事だなとも
思います。

病院は、ミスが命取りになる場面も多いです。
そのため、ミス防止の「システム」を作っていました。

私が勤めた老人ホームやデイサービスでは、
ミスがあった場合、
各個人が気合いで気をつけるか、
チェック体制を1工程増やすという対応が多かったです。

しかし、病院では、
チェック体制を増やすこともありますが、
抜本的にやり方を変えようということもあります。

たとえば、患者さんの留意点
(アレルギーや経管栄養の量、保菌者のマーク等)を
ベッドの足下や枕元に書くということも
行われていました。

プライバシーを考えると、
このやり方は問題だなと思います。

しかし、明記されているので、
新人さんのように知らなかったり、
ベテランでも覚え違いがあっても
ミスを防ぐことができます。

プライバシーを守りつつ、
ミスを防ぐ方法があれば良いのですが。
働く方の立場だけでいうと、
働きやすいです。

一番、嬉しかったこと

話が出来ない患者さんが
声を出して反応してくれたことです。

職員は、寝たきりの方でも声をかけます。

言葉をごくたまに出せる方には、
「おはよう」などより一層、
一生懸命話しかけます。

他の職員には
言ってくれなかった挨拶の単語を
私だけに言ってくれた時には、
感動しました。

本当に嬉しくて、
その患者さんに認められた気がしました。
(たまたま体調が良かっただけかもしれませんが)

老人ホームで働いていた時の入居者は、
ほとんどの方が言葉を返してくれました。

しかし、療養病床では、
話すことすらできない方が多いです。
その中で、
たった一言でも返してくれることは、
励みになります。


何も話せず、ベッドに横たわり、
ただ天井を見つめ寿命が尽きるのを待つ。
何も反応できない患者さんは、
何も考えていないのでしょうか。

私は、そうは思いません。

本当は、色々考えていて、
自分の動かない身体を
情けなく思っているかもしれない。

早くお迎えの来ることを
望んでいるのかもしれない。

その一方で、
この職員は優しい、あの職員は怖い、
この職員はおむつ交換がヘタとか
思っているのかもしれません。

どうせ何もわからないからと思うのは、
私の一方的な判断であって、
本当はすべてをお見通しなのかもしれない、
と思うとしっかり介護しないと、
という気もします。

意思をたくさん持っているけど、
私がくみ取れないだけかもと思うと、
申し訳なくすら思います。

ささいな表情の変化
(ほとんど表情に変化はありませんが)を
くみ取れるようになりたい。
この人の声を聞きたいと思いました。

病院ですから、亡くなる方もたくさんいます。
私は幽霊に会うのは嫌です。

介護したこともない
昔の患者さんがもし出てきたら、
勘弁してほしいと思います。

しかし、私がお会いしたことがあり、
介護させてもらった患者さんの幽霊なら
会ってみたいとも思いました。

お話ができなかったけれども、
今度は言葉でお話を聞いてみたい。
どういう人だったのだろう。
私の介護について何か意見があれば
聞いてみたいと思っていました。

「下手くそ!」とすごく怒られたらどうしよう
という不安もありますが。

怖い人でも優しい

認知症の重い方もいます。
暴力行為がある方もいます。

日によって、顔を鬼の形相にして、
ツメでひっかこうとする患者さんもいます。
怖い患者さんです。

しかし、夜勤で回ると、
「疲れたでしょう。ほら、ここ入りなさい」と
自分のベッドで寝かせてくれようとしていました。

その優しい心遣いがすごく嬉しくて、
自分のおばあちゃんに言われている
暖かさがありました。

さすがに一緒に寝るわけにはいかないので、
丁重にお断りしますが。

療養病床で働くことの特徴

・重度の方が多く、寝たきりの方が多い。
・急変もある。
・亡くなる方も多い。看取りを行う。
(退院する人はほとんどいない。)

※療養病床は、重度の方が入院します。
そのため、そのままいずれは
死を迎える人が多いです。

医療措置がほとんど必要なく
退院し特別養護老人ホームに入居する人もいました。

ただし、長期入院は不可という方針の
病院もあります。
この場合は、入院している間に、
次の施設や病院を探すことになります。

・意思の疎通がとれない人が多い。会話できる人が少ない。
・医療の知識を得られる。
・看護師、医師がいるので安心。
・多床室が多い(4人部屋など)。
・システマチック。

ということかなと思いました。


どういう人が向いているか

・医療の知識を深めたい人。

・仕事が早いなおかつ、優しい対応ができる人
(効率的に動きつつ、患者さんのことを思いやれる。)

・看取りが多いが、死だけに目を向けず、
 患者さんが最期まで楽しく暮らせることに
 目を向けられる人。

・介護職の経験がない人でも可能。
特別養護老人ホームの就職は、中途採用の場合、
介護福祉士の有無や経験を重視する施設が多いように
思います。

私が勤務した病院では、
50歳代の介護経験のない人でも採用されていました。

「看護助手」という職種は、
ヘルパーや介護福祉士といった資格がなくとも、
採用されやすい気がします。

もちろん、介護福祉士やヘルパーの資格を
持っていると有利です。

 

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